• NPO法人AABC(アジアン・エイジング・ビジネスセンター)
  • 2008/5/16 18:45:52

フィリピンでは自由貿易に対する反対が強く、「自然人に移動」を含む日本との二国間経済協力協定がもたついている。自然人というのは、法人に対する概念である。看護師・介護福祉士の移動もこの概念の下にある。フィリピンでは、この種の協定には議会の採決が必要であるため、政府は推進したいが、議会がうんといわないので、膠着状態に陥っている。
 そんな中、議会の採決を必要としないインドネシアでは、今夏、同じような枠組みで看護師・介護福祉士が、新しい枠組みの中でいよいよ日本にやってくる。アジア通貨危機のあと、インドネシアの地域医療は崩壊状態にある。フルタイムの公務員として働いていた多くの医師たちが、パートタイムの病院勤務と、金持ちの患者がいる都市部での開業の兼業という生活スタイルに切り替えたために、地域医療に従事する人材が確保できない状況に陥っている。また看護師資格制度はなかったこともあり、今必死に確立を急いでいる段階である。まして介護福祉士という制度は日本独自のものであり、国際的にはスタンダードにはなっていない分野であり、当然インドネシアにとっては、全く新しく開発中という段階にある。
 日本では、介護福祉士は、社会福祉士とひとつの法のもとに規定された「福祉職」である。しかし、いつの間にやら、国際社会への門戸開放の過程で、看護師・介護福祉士と組み合わされて、「医療職」のイメージが形成されつつある。インドネシアからの看護師・介護福祉士は、看護教育を受けた人を有資格者としているので、ますます「医療職」の性格が強まる。
 外国人と福祉施設を結びつけると、在日外国人や新日系人や日系外国人がヘルパーとして働くというイメージが連想され、事実、いろいろな報道を見てもそうした連想で構成されているものが多い。しかし今回の外国人看護師・介護福祉士の受け入れは、あくまでも日本の国家資格を取得することができる専門職という格付けでなされるものであり、単純労働としての受け入れを意味するものではない。
 ともあれ、この問題は日本という文脈だけでなく、送り出し国の文脈で考えるべきだろう。さらには国際的な看護介護労働力確保競争という面も考えなくてはならない。さらに日本という文脈の中で、専門職であれ、単純労働であれ、「外国人労働力」という限定した対応で済む問題ではないことを覚悟すべきであろう。「移住者・移民」の受け入れだとか多文化共生という日本がもっとも苦手あるいは禁忌としてきた問題に手をつけた限りは、日本がドメスティックに進めてきた諸制度をグローバルな観点から見直すことも必要になるだろう。


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