• NPO法人AABC(アジアン・エイジング・ビジネスセンター)
  • 2007/11/19 18:12:00

日本と韓国と中国は、隣国であるがゆえにいつも緊張関係にある。最近よくこの三国の研究者が集まる会合を経験するが、その際に、よく話題に上るのが「儒教の影響が強かった共通文化」という話題である。この論議は、ナショナリズム色の強いジャーナリズムや政治の影響を受けて、とかく日中韓の違いを際立たせて対立をあおり、内的な統合を図るという仕掛けに乗らされてしまう論議よりは、確かに口当たりがいいかもしれない。でもそれでは、仏教はどうか、道教はどうか、神道はどうかなどと考えると、それらも歴史的に形成された精神であったとしかいいようがない。そのような共通性を確認したからといって、それがそのまま現在通用するとはいえない。むしろ、共通項目探しにとどまるのではなく、あえて日中韓の三国を襲っている変化に共通して立ち向かう協働の方法を考えることが重要である。
 たとえば、人口の少子高齢化は、日中韓のいずれの社会でも生じていることであり、それぞれの事情を超えて協働を図るべきだろう。過剰都市化と農村の疲弊もまた共通する課題である。
 韓国全羅南道(木浦市)の依頼により、集落移転問題についてフランスの地理学者も交えたシンポジウムで話したが、いまや日本で問題になっている、いわゆる農村の「限界集落」という社会状況が、韓国でも大きな政策課題になっていることを知らされた。さらに深刻なのは、そのような農村に住んでいる人々の家が、アスベストをつかった建材で造られているということである。行政は、そんな不健康な家に住むより、行政が用意する住宅に移った方がいいだろうと考えているが、住民は地域を離れたくないと抵抗している。
 来年7月に導入される韓国の介護保険(長期療養保険)は、日本の取り組みをつぶさに研究した結果、特徴のある制度になるだろう。しかしこの保険の導入によって、住宅業界、医療界、社会福祉界などが築き上げてきた業務独占的な領域区分はみなおさざるをえなくなるだろう。また家族支援のあり方、介護予防のあり方、ひいては少子化対策などを同時的に進めていかなければならない。「孝行」という共通項目の持続性か崩壊かなどを考える前に、「少子高齢化」という共通課題を論じ合う中で、どのような工夫がなされうるかを共有できるようにする努力が必要であるといえよう。
 経済的に豊かになるために、農村から離れて経済的チャンスが多い都市に移り住み、「貧乏人の子沢山」といわれるような状況を打破すべく、子供は少なく生んで大事に育てるという生活スタイルを追求した結果が、都市化と少子高齢化という問題状況である。これを仮にジャパン・シンドロームと考えた場合、それに韓国や中国などはそれに罹患しないように、事前にワクチンを打つ必要があるだろう。ようやく学会レベルでは、同じような問題意識を持って、共同研究をしようという機運は高まりつつあるといえる。10月に北京で開催されたアジア・オセアニア地区老年学会議や、11月に韓国の東国大学・九州大学・中国社会科学研究院が協賛したシンポジウムや韓国老人病学会などでも同じような問題が論じられた。いまや確かに少子高齢化は住民や関係組織や専門家が共に取り組まなければならない共通課題のひとつであるといえるだろう。


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