M&Aでの事業引継ぎにも使える補助金『事業承継・引継ぎ補助金』を解説

資金調達

2021.7.171 year前

M&Aでの事業引継ぎにも使える補助金『事業承継・引継ぎ補助金』を解説

事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継をきっかけに経営革新等を行う事業者に対する補助金です。M&Aで事業を引き継ぐ場合にも活用できるもので、M&Aなどにあたり活用した士業専門家への費用も対象となっています。

これから受付が始まる補助金ですが、事前確認等の手続きが必要なので、現在わかっている概要等を確認して、早めに準備を進めるようにしましょう。

事業承継・引継ぎ補助金とは

事業承継・引継ぎ補助金とは、経営者の交代をきっかけとして経営革新等を行う事業者に、その取り組みにかかる経費の一部を補助するものです。

後継者不足に悩む事業者が廃業するのを防ごうと、事業承継を後押しするための制度です。地域の需要や雇用を支える者であれば、事業再編・事業統合などの経営革新だけでなく、事業転換でも活用できます。また、事業承継にあたって活用した士業専門家の費用に対する補助も設けられています。

事業承継・引継ぎ補助金の概要

2021年4月現在、予定されている事業承継・引継ぎ補助金は、「令和2年度第3次補正予算」によるものと「令和3年度予算」によるものです。それぞれの概要は、次のようになっています。

【令和2年度第3次補正予算分】

支援類型 補助率 補助上限額 上乗せ額
①事業承継・引継ぎを契機とする新たな取組や廃業に係る費用の補助
創業支援型 2/3 400万円 200万円
経営者交代型 2/3 400万円 200万円
M&A型 2/3 800万円 200万円
②事業引継ぎ時の士業専門家の活用費用の補助
専門家活用型 2/3 400万円 200万円

(売り手のみ)

※暦の上では令和2年度は終了していますが、この補正予算分の事務局を務める事業者が決定している段階ですので、今後、募集が始まると思われます。

 

【令和3年度予算分】

支援類型 補助率 補助上限額 上乗せ額
①事業承継・引継ぎを契機とする新たな取組や廃業に係る費用の補助
経営者交代型 2/3 250万円 200万円
M&A型 2/3 500万円 200万円
②事業引継ぎ時の士業専門家の活用費用の補助
専門家活用型 2/3 250万円 200万円

(売り手のみ)

・創業支援型
他の事業者が保有している経営資源を引き継いで創業した事業者向け

・経営者交代型
親族内承継等により経営資源を引き継いだ事業者向け

・M&A型
株式譲渡・事業譲渡などのM&Aにより経営資源を引き継いだ事業者向け

補助が受けられる費用は、「設備投資」「販路開拓」等の事業承継・引継ぎをきっかけに行われる取組や、廃業費用、「仲介手数料」「デューデリジェンス費用」「企業概要書作成費用」等の事業引継ぎにあたり士業専門家を活用した費用です。

「上乗せ額」とは、事業承継・引継ぎの結果として、先代経営者の廃業を伴う場合に利用できます。

M&Aでの利用条件は?

事業承継・引継ぎ補助金の申請方法

事業承継・引継ぎ補助金は、申請するにあたり、「認定経営革新等支援機関の確認」を受けていなければなりません。そのため、次のようなステップで進められます。

①認定経営革新等支援機関への相談・事業計画の提出
事業承継をきっかけに経営革新をする方針があるだけで補助は受けられません。どのような経営革新等を行い、補助事業期間中の事業計画を立てなければなりません。

認定経営革新等支援機関に事業計画を提出し、その内容の確認を受けてから申請に進みます。

②補助金の申請をする
登記簿謄本、確定申告書・財務諸表、要件を満たしていることを証明する書類などの必要書類に、認定経営革新等支援機関の確認書を添えて、補助金の申請をします。

③補助金が受けられたら、支援を受けながら実行に移す

補助金が採択されたら、認定経営革新等支援機関の支援を受けながら、経営革新等の実行を進めます。

補助金も含めてM&Aの専門家に相談してみよう

事業承継・引継ぎ補助金の申請にあたっては、専門家に相談することをおすすめします。事業計画の提出が必要な助成金・補助金は、その内容の良し悪しで採択されるかどうかが大きく変わります。どれだけ具体的に書けばいいのかなどを、細かく相談することができるでしょう。

また、補助金の申請ができる期間が短いため、その期間内に支援機関の確認を受けたうえで申請しなければなりません。短期間で事業計画の策定と確認を進めるため、スケジュール感も含めてアドバイスを受けることができます。

なお、M&A型の場合は、M&Aについて仲介会社などの専門家に相談すると思いますが、事業承継・引継ぎ補助金のことも含めて相談することが望ましいです。M&Aとの関連がある助成金・補助金について詳しいことはもちろん、M&Aには経営革新や企業再生を伴う案件も多いため、事業計画策定にあたってもよいアドバイスを受けられるでしょう。

おわりに

事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継をきっかけに経営革新等を行う場合に補助が受けられるもので、事業を引き継ぐ経営者にとってのメリットが大きい制度です。しかし、事業計画の確認を受けなければならないため、事前の計画がどれだけしっかりとできているかが大切です。専門家のアドバイスを受けながら、計画的に進めましょう。

なお、2021年4月現在、事業承継・引継ぎ補助金の受付はまだ始まっていません。今後、正式決定された補助内容や受付期間等について公表されますので、中小企業庁等の公的機関の最新情報を確認するようにしてください。

この記事を書いた人

シニア・プライベートバンカー、MBA(経営学修士)、1級ファイナンシャルプランニング技能士、日本証券アナリスト協会認定アナリスト横山 研太郎

ねこのて合同会社 代表。大手メーカーで経理、中小企業の役員として勤務したのち、ファイナンシャルプランナーとして独立。金融機関での経歴がないからこそできる、お客様にとってのメリットを最大化するプランを提案している。オーナー企業での役員経験を活かし、経営コンサルティングからオーナー様の資産管理・資産形成まで、幅広い相談に対応できることを強みとする。

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