M&A仲介会社の比較ポイント3つ、M&A仲介会社を選ぶ際の注意点

M&A仲介

2021.12.22 years前

M&A仲介会社の比較ポイント3つ、M&A仲介会社を選ぶ際の注意点

M&Aの成功のために中立的な立場からサポートしてくれる存在が「M&A仲介会社」です。M&A仲介会社は買い手・売り手双方のアドバイザーとしてサポートするのですが、中小企業のM&Aの多くが仲介会社によるものです。そのため、仲介会社選びがM&Aの成否を左右する重要なポイントとも言えます。

今回は、M&A仲介会社を選ぶときの比較ポイントや注意点について解説します。

M&A仲介会社とは

M&A仲介会社は、買い手企業と売り手企業との間に入って、双方に中立的・客観的立場からアドバイスをしてM&Aを成立に導く存在です。M&Aを検討する段階から、マッチング相手の紹介・契約成立までをサポートしてもらうことができます。買い手・売り手双方のアドバイザーになることでM&Aを成立させやすく、中小企業のM&Aの多くが仲介方式で進められています。

FA(ファイナンシャル・アドバイザー)との違い

FAとは「ファイナンシャル・アドバイザー」の略で、仲介会社と同じくM&Aアドバイザーとしてクライアントに助言等を行います。しかし、仲介会社が売り手・買い手双方にアドバイスするのと異なり、FAは一方の会社と契約してアドバイスします。

一方だけにアドバイスするため、仲介方式よりも「自社の利益を最大化する」ためのアドバイス・交渉が可能です。中小企業がFAのサポートを受けてM&Aを進めるケースは多くなく、上場企業などの大企業が利用するケースが一般的です。事業承継目的のM&Aなどとは異なり、「自社にとってメリットのあるM&Aなら実施したいが、そうでなければ破談になってもよい」というスタンスだからと言えます。

M&A仲介会社のサポート内容

M&A仲介会社がサポートしてくれるのは、M&Aに関する一連の業務についてですが、具体的には、次のようなものです。

  • M&Aに関する書類等の作成
  • M&Aの相手探し(マッチング)
  • デューデリジェンス(DD)とバリュエーション(株価算定)
  • 交渉等についてのアドバイス
  • PMI支援

ただ、仲介会社によって、一部は対応していない場合もあります。必ず上記のサポートをしてもらえるとは限りませんので、事前に確認するようにしてください。

M&A仲介業者

M&A仲介会社の比較ポイント3つ

M&A仲介会社を比較するときに気をつけたい3つのポイントを紹介します。

1.費用の違い
M&A仲介会社の費用は、業者によって異なります。「着手金」「月額報酬」「成功報酬」などがありますが、どういったタイミングでどのような費用がかかるかを確認しましょう。

2.自社のM&Aにあった仲介業者か
M&A仲介会社は、それぞれ得意とする業種・業界や規模があります。特定の業界に特化している場合は、深い専門知識でサポートしてくれるでしょう。

一方、全業種に対応している場合は、同一業界内でのM&Aだけにとらわれず、他業界とのM&Aでシナジー効果があるとかが得られる相手候補を探してくれるかもしれません。大型M&Aを得意とする仲介会社では、中小企業のM&Aは費用がかさみすぎるか、取り扱ってもらえない可能性があります。

3.ワンストップサービスができるかどうか
M&Aを成立させるためには、さまざまなジャンルで深い専門知識が必要です。仲介会社の中には、自社で全ジャンルのアドバイスができるところもあれば、法務などの一部分は別の士業と契約しなければならない場合もあります。

もちろん、ワンストップの方がよいというわけではなく、外部の士業とタイアップして質の高いアドバイスができる業者であれば問題ありません。

M&A仲介会社を選ぶ際の注意点

M&Aは、中小企業にとって、失敗できない非常に大きな取引です。M&Aを成功させるためにも、仲介会社選びで注意しておきたいのが「自社にとって最善の提案をしてくれそうか」という点です。

M&A仲介会社は、買い手・売り手双方から報酬を受け取ります。その中で最も大きなものが成功報酬であるため、「M&Aを成立させること」が一番利益につながります。よいマッチング相手かを無視して、強引にM&Aを成立させようとするアドバイザーは避けたいところです。譲渡価額が高くなる方が成功報酬も多くなるため、買い手側は特に慎重に判断しましょう。

アドバイザリー契約をする前に、公平・中立の立場で客観的なアドバイスをしてくれる、信用できる仲介会社・アドバイザーかを見極めることが大切です。

M&Aには専門知識が不可欠

M&Aを成功させるためには、財務・法務・労務など、幅広いジャンルの深い専門知識が必要です。通常の企業経営に求められるスキルではないため、M&Aの手続きを進められる人材が社内にいることはほとんどありません。そのため、M&Aには仲介会社などのアドバイザーが不可欠です。

しかし、前述の通り、信頼できる仲介会社・アドバイザーを探すことが重要なので、いくつかの業者に相談するなどして、どことアドバイザリー契約を締結するかを考えましょう。

おわりに

M&A仲介会社は、買い手・売り手双方の間に立って、中立的な立場からM&A成立のためのサポートをしてくれます。ただ、各社で報酬体系や得意とする業界なども異なるため、どの仲介会社と契約するかを慎重に選ばなければなりません。アドバイザーの助言なしに進めるのが難しい重要な取引ですから、比較するための3つのポイントや注意点をおさえて、信用できる業者を探しましょう

この記事を書いた人

シニア・プライベートバンカー、MBA(経営学修士)、1級ファイナンシャルプランニング技能士、日本証券アナリスト協会認定アナリスト横山 研太郎

ねこのて合同会社 代表。大手メーカーで経理、中小企業の役員として勤務したのち、ファイナンシャルプランナーとして独立。金融機関での経歴がないからこそできる、お客様にとってのメリットを最大化するプランを提案している。オーナー企業での役員経験を活かし、経営コンサルティングからオーナー様の資産管理・資産形成まで、幅広い相談に対応できることを強みとする。

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