M&Aの新設合併とは?吸収合併との違いやメリット・デメリットを解説

M&Aの手法

2021.9.91 month前

M&Aの新設合併とは?吸収合併との違いやメリット・デメリットを解説

「新設合併」は、合併の一種ですが、「吸収合併」とは大きく異なるM&A手法です。許認可が引き継げるか、対価の支払いがどう行われるかなど、M&Aの目的に大きくかかわる部分での違いがあります。M&Aは経営者にとって大きな決断です。吸収合併との違いや共通点、メリット・デメリットについて理解しておきしましょう。

企業の新設合併とは

「新設合併」は、新しく会社を設立して、合併しようとする企業すべてが新設会社に引き継がれるM&A手法です。引き継がれるのは、合併する企業の持つ資産・負債のすべてで、取引先との権利・義務等も含まれます。

吸収合併との違い

合併の方法には「吸収合併」もあります。吸収合併との違いは、大きく3つあります。

1.存続会社が違う
新設合併では、新設会社だけが存続し、合併する企業はすべて消滅します。吸収合併では、他の企業を吸収する企業だけが存続し、他の企業は消滅します。

2.株主が受け取る対価が違う
新設合併では、合併する企業を引き継ぐ対価の支払い方法は「新設会社の株式か社債」に限られています。吸収合併では、株式と社債に加えて、現金での支払いも可能です。

3.許認可や免許を引き継げるかが違う
新設合併で新設した会社は、許認可や免許を必要とする事業を行う場合は、あらためて許認可や免許を取得しなければなりません。一方で、吸収合併の場合は、存続会社が取得している許認可等が維持されるため、あらためて手続きしなければならないケースは少ないでしょう。

吸収合併との共通点

吸収合併との共通点は、包括的に引き継がれることです。つまり、合併しようとする企業の資産・負債や取引先との権利・義務のすべてが引継ぎの対象となります。

吸収合併は以下の記事でさらに詳しく解説しています。

新設合併を行うメリット

新設合併を行うメリットは、次の3つが挙げられます。

1.事業拡大やシナジー効果

複数の企業が一体となることで、事業規模を拡大したりシナジー効果(相乗効果)でより成長できたりするメリットが期待できます。これは、吸収合併とも共通する「合併全般」にあてはまるメリットです。

2.対等な関係で合併ができる

新設合併は、吸収合併のように「ある企業が別の企業に取り込まれる」という形ではなく、すべての合併対象企業が「同時に同じ会社に変わる」という形式です。そのため、対等な関係の組織が作りやすいと言えます。

ただ、必ず対等になるというわけではありません。新設会社の出資比率がかたよっていれば、経営方針への発言力に影響を与える可能性もあるでしょう。

3.よいイメージでの合併ができる

吸収合併では、どうしても「あの会社が吸収された」というネガティブなイメージを持たれがちです。これは、対外的なものだけでなく、企業内での立場や働き方にもついて回ります。

新設合併では、対等な合併であるイメージから、対外的にも社内的にも、よいイメージを持たせやすいのが特徴です。

新設合併で注意すべきこと

一方で、新設合併で注意すべきこともあります。次の3点です。

1.企業文化の統合が難しい

これはM&A全般に言えることではありますが、企業文化の違いを統合できてこそ、M&Aや合併はうまくいくものです。そのステップを軽視してしまうと、合併が失敗に終わってしまいかねません。

2.会社を新設するための手続きやコストがかかる

新設合併では、新設会社を設立する手続きが必要となります。また、必要な許認可や免許の取得手続きをするほか、社内制度を定める作業も必要です。

3.対価の支払いが現金でできない

すでに説明した通り、新設合併では、対価の支払い方法は「新設会社の株式か社債」に限られています。そのため、M&Aを通して現金化も目的としている場合は、新設合併は適当ではありません。

新設合併が行われるケース

こういったメリット・デメリットを考慮すると、新設合併に向いているケースには次のようなものが考えられます。

・早期にシナジー効果が得られるM&Aがしたい
新設合併は、対等な合併がしやすく、統合がうまくいけば、シナジー効果が発揮されるまでの時間が短くなります。

・イメージのよい形でM&Aがしたい
吸収合併や買収などと異なり、新設合併は「一方がもう一方を飲み込む」というイメージになりにくいM&A手法です。そのため、対外的にも社内的にも悪いイメージがつきにくい形でM&Aを進められます。

新設合併の流れ

最後に、新設合併を進める簡単な流れをまとめました。

1.取締役会決議
合併する各社で取締役会の決議を取ります。

2.合併契約の締結
合併する会社間で、合併契約書を締結します。

3.株主総会での特別決議、反対株主の株式買い取り
合併をするためには、効力が発生する前日までに、株主総会にはからなければなりません。3分の2以上の賛成が必要な特別決議で承認を得ます。
その際、合併に反対した株主には株式買取請求権を与える必要があります。

4.債権者保護手続き
合併は、会社の権利・義務が包括的に引き継がれるため、債権者保護の手続きが必要です。官報公告をし、異議申し立てを受け付けます。

5.新設会社の設立と登記の変更
株主総会、債権者保護で問題がなければ、新設会社を設立します。その後、消滅会社の解散登記などをします。

おわりに:M&Aの目的と合致すればメリットが大きい

新設合併は、対等な合併がしやすいM&Aスキームです。早期にシナジー効果を得たい場合やよいイメージのM&Aを成立させたい場合などに有効です。対価の支払いが現金でできないことなどのデメリットのため、あまり行われている手法ではありませんが、M&Aの目的と合致すれば、非常にメリットが大きいとも言えます。

専門家でないと難しい部分も多いので、信頼できる業者などに相談して検討してみることをおすすめします。

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