ホワイトナイトとは?敵対的買収から防衛する白馬の騎士、条件や事例を解説

M&Aの手法

2021.9.224 weeks前

ホワイトナイトとは?敵対的買収から防衛する白馬の騎士、条件や事例を解説

買収防衛策にはさまざまな手法がありますが、その中でも、敵対的買収への防衛策が事前に用意されていなくてもとれる手段が「ホワイトナイト」です。もともと、ホワイトナイトは敵対的買収を仕掛けられた会社を友好的買収で守る会社を指す言葉ですが、買収防衛策の方法を指す言葉としても使われます。

本記事では、「白馬の騎士」と呼ばれるホワイトナイトの条件や事例を解説します。

ホワイトナイトとは?

ホワイトナイトとは、敵対的買収を仕掛けられた会社を、友好的買収や合併という手段によって対象会社を守る会社のことです。

「White knight 」は英語で「救済者」という意味で、日本語では「白馬の騎士」と呼ばれます。敵対的買収に対する防衛策のひとつで、敵対的買収を仕掛けられた会社からしてみれば、まさに白馬に乗った騎士=救済者に思えるでしょう。

ポイズンピル(毒薬条項)などの事前に導入しておく必要がある防衛策ではなく、敵対的買収を仕掛けられた後からでも実行できる方法です。後ほど詳しく紹介しますが、敵対的買収が発生した後でホワイトナイトとなる会社が現れ、敵対的買収を阻止したケースがあります。

ホワイトナイトは敵対的買収者に対抗するために現れる「友好的買収者」ですが、いずれにしても「自社が買収されることには変わりがない」ことに注意が必要です。

※ポイズンピル…あらかじめ新株予約権を発行しておき、敵対的買収を仕掛けられたときに新株予約権を行使して防衛する方法

敵対的買収から防衛するホワイトナイト – 4つの防衛策

ホワイトナイトが敵対的買収から防衛する方法には、主に次の4つが挙げられます。

(1)カウンターTOB
ホワイトナイトに、「より高いTOB価格」を設定してもらい、敵対的買収者のTOBを不成立に追い込む方法です。敵対的買収者がさらに高いTOB価格を提示し、TOB価格引き上げ合戦に発展する場合もあります。

※TOB…株式公開買い付け

(2)第三者割当増資・新株予約権
第三者割当増資は株式会社の資金調達手段のひとつで、発行した新株を特定の法人や個人に引き受けてもらう方法です。ホワイトナイトに第三者割当増資や新株予約権を引き受けてもらい、敵対的買収者のTOBが成立したとしても自由に経営できず、目的を達成できない状態にします。ただ、株式の希薄化が起きるため、一般株主からの反発を招く可能性もあります。

※第三者割当増資の記事に内部リンクを張る

(3)株式交換・合併
ホワイトナイトと友好的な株式交換や合併を行い、敵対的買収者が買収できないようにしてしまいます。

(4)クラウンジュエル
敵対的買収者は、買収する会社の事業や資産を狙っています。クラウンジュエルは、価値のある事業や資産をホワイトナイトに売却し、敵対的買収者にとっての魅力を失わせる方法です。

ただ、一般株主にとっても投資対象としての魅力を毀損する恐れがあります。別名「焦土作戦」と呼ばれることもある、諸刃の剣のような戦略です。

なお、ホワイトナイトに「自社を救済してもらう」ことになるため、(1)のカウンターTOB以外の手法では、ホワイトナイト側に有利な条件を提示することになるケースが多いでしょう。場合によっては、一般株主による訴訟問題に発展してしまうリスクもあります。

ホワイトナイトの条件

上記のような手段を実行するためには、「ホワイトナイトによる買収」が必要です。敵対的買収者によるTOBが成立してしまう前に、株式や事業などの購入を決定してもらう必要があります。そのためホワイトナイトになる企業は、資金力があることが大前提です。

つまり、すぐに銀行からの融資が受けられる、キャッシュリッチであるなど、機動的に資金を動かせる企業であることが条件となります。

また、防衛後も事業を継続することを考えると、ただ買収してもらえればよいというわけにはいきません。自社とシナジーが効くことや、従業員の雇用を維持してくれることなども、可能な限り考慮したいところです。

ホワイトナイトが敵対的買収から防衛した事例

実際に、敵対的買収からホワイトナイトが防衛した事例は多数あります。さまざまな防衛策が検討された「ニッポン放送への敵対的買収」と、シンプルなカウンターTOBで防衛に成功した「オリジン東秀への敵対的買収」の2つの事例をご紹介します。

ライブドアによるニッポン放送への敵対的買収

ライブドアがニッポン放送に仕掛けた敵対的買収は、連日ニュースで報じられるほどの話題になりました。

この敵対的TOBが起きたのは、規模の小さなニッポン放送が規模の大きいフジテレビの筆頭株主だったことが理由です。M&Aコンサルティンググループの村上ファンドからの指摘を受けて、フジテレビによるTOBで経営状態のねじれを解消しようとしたところを、当時のTOB規制の間隙を突く形で、テレビなどへの進出を狙うライブドアが1/3超の株式を買い集めました。

フジテレビをホワイトナイトとする新株予約権発行などの対策も取られましたが、希薄化を嫌った個人株主が裁判所に発行差し止めを申請したことで失敗に終わります。

最終的に、ソフトバンク・インベストメント(現:SBIホールディングス)の協力を得て、ニッポン放送が保有するフジテレビ株を貸し出すことで保有株を実質的にゼロにし、ライブドアによるフジテレビの間接支配を不可能にすることに成功しました。この事例のホワイトナイトは、ソフトバンク・インベストメントです。

ドン・キホーテによるオリジン東秀への敵対的TOB

当時、オリジン東秀の筆頭株主(特別関係者含む)であったドン・キホーテが、同社の子会社化を目指し、持株比率を過半数にするためのTOB(1株2,800円)を行いました。

オリジン東秀側は、この敵対的買収に反発。ホワイトナイトとして名乗りを上げたイオンが、1株3,100円での友好的カウンターTOBを実施します。ドン・キホーテはカウンターTOBに対抗することができず、オリジン東秀の買収を断念し、ホワイトナイトによる防衛が成功しました。

ホワイトナイトによる防衛が失敗した事例

一方で、数は少ないですが、ホワイトナイトによる防衛が失敗した事例もあります。ソレキアの買収を巡り、ホワイトナイトの富士通が友好的TOBに失敗した事例をご紹介します。

富士通によるソレキアへの友好的TOBが不成立

電子部品商社であるソレキアに対し、大手産業メーカーのフリージア・マクロスの会長である佐々木ベジ氏が敵対的TOB(1株2,800円)を仕掛けました。これに対し、ビジネス上のつながりが強かった富士通が、完全子会社化を目的として、1株3,500円でカウンターTOBを実施します。

しかし、佐々木氏がTOB価格の引き上げを行い、TOB価格の引き上げ合戦に発展。最終的には、佐々木氏による5,400円の提示に対し、富士通の5,000円から引き上げられず、ホワイトナイトによる買収防衛策が失敗に終わりました。

おわりに

このように、ホワイトナイトの協力があれば、敵対的買収に対抗できるケースは少なくありません。しかし、ホワイトナイトによる防衛は、「あの会社に買収されるくらいなら、ホワイトナイトの方がよい」という考えによるもので、いずれにしても自社は買収や事業譲渡をすることになります。

ホワイトナイトによる防衛は、最後の手段のようなものです。敵対的買収を仕掛けられないよう、事前に買収防衛策を定めておくことが望ましいと言えるでしょう。

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