個人でもM&Aは可能!個人M&Aできる案件の探し方&注意点

M&Aの基礎

2021.12.157 months前

個人でもM&Aは可能!個人M&Aできる案件の探し方&注意点

起業や副業を考える人が多くなっています。その一方で後継者問題を抱える会社も増えているため、個人でもM&Aができる可能性が広がり、個人M&Aも選択肢のひとつになりつつあります。しかし、M&Aには起業や副業とは異なるメリット・デメリットがあるのも事実です。

本記事では、個人でのM&Aについて、案件の探し方や注意点についてまとめました。

個人でもM&Aは可能?

M&Aと聞くと「会社が他の会社を買うもの」と思われがちですが、必ずしもそうではありません。そもそも、株式会社の持ち主は「株主」であり、株式投資で個人が上場企業の株式を購入できるのと同様、個人でも株式を購入すれば株主になれます

M&Aをする、つまり、経営権を得るためには、株式の大半を購入しなければならないため、個人で大きな会社をM&Aすることは困難ですが、小規模の会社なら数百万円でM&Aできるケースもあります。小規模の会社では社長がほとんどの株式を保有していることが多いため、社長と交渉して株式を譲渡してもらえば個人でもM&Aは可能です。

近年は、後継者がいないことに悩む経営者が多い中、小規模事業者向けのM&Aを支援するサービスが登場しているため、個人M&Aをするハードルは下がっていると言えるでしょう。

個人M&Aをするメリット・デメリット

個人M&Aをするメリット・デメリットには次のようなものが挙げられます。

【メリット】

(1)すでに事業を行っている会社を買うことができる
起業をする場合、法人の設立登記をして、自分で販路を見つけていかなければなりません。しかし、事業を行っている会社をM&Aすれば、その手間を省いて事業を始めることが可能です。

(2)小規模M&Aができる環境が広がっている
事業承継問題を解決するためのM&Aサービスが増えており、数百万円規模のM&Aもしやすくなっています。

【デメリット】

(1)ある程度まとまった資金が必要
いくら少額と言っても、希望する条件の会社を購入するには、まとまった資金が必要です。起業と比較すると、多くの資金が必要なケースが多いでしょう。

(2)起業と比べると自由度が低い
すでにある事業基盤を引き継げる代わり、立地や事業方針などの自由度が制限されてしまいます。

(3)経営能力が必要
すでに事業を行っている会社を買ったからと言って、勝手に儲かるわけではありません。自身の経営能力がないと、事業が立ち行かなくなるリスクがあります。

個人でM&Aできる案件の探し方

では、個人でM&Aしたい場合、どのように探せばよいのでしょうか?

(1)自分で会社を売りたい社長を探す
自身の人脈を使い、会社を手放したいと考えている社長を探し、自分で交渉する方法です。ただ、自分が購入したいビジネスをしている会社が見つかるかは運次第ですし、専門的な知識がないままに交渉して、後にトラブルになる可能性もあります。

(2)公的な事業承継支援サービスを使う
中小機構が運営し、全国の都道府県に設置されている「事業引継ぎ支援センター」に相談する方法です。同センターは、事業承継に悩む経営者の相談に乗っているほか、「後継者人材バンク」に登録した創業希望者とのマッチングもしています。

事業引継ぎポータルサイト

(3)M&Aマッチングサイトを使う
会社を手放したい人が登録した案件情報を検索できるマッチングサイトです。M&Aを希望する個人や法人が検索し、条件に合う案件を見つけることができます。M&Aの仲介コストは安いですが、専門的なアドバイスには別途費用が必要です。

(4)M&A仲介会社を利用する
小規模の案件であれば引き受けてくれない可能性もありますが、M&A仲介会社に相談することもできます。希望の案件を探してくれる、M&Aの専門家のアドバイスを聞ける、一緒に交渉してくれるなどのメリットはありますが、手数料が高額になってしまうのはデメリットです。

個人M&Aをするときの注意点

数百万円程度あれば個人でM&Aできるのは事実ですが、注意しておくべきこともあります。主な注意点を3つ紹介します。

(1)少額で購入できる会社は限られている
M&Aの譲渡価格は、取引する会社の価値で決まります。そのため、個人が少額で購入できる会社は限られます。業種で言えば、「小売店」「飲食店」「学習塾」「美容サロン」「製造業」「訪問介護」「Webサイト関連」などです。いずれも、大がかりな設備投資が少ないものが多いと言えます。

(2)小規模でもM&Aに伴うリスクは変わらない
M&Aは会社を取引するものであり、会社の大小関係なく気をつけるべきリスクがあります。今は表面化していないだけの簿外債務や、従業員が辞めることなくM&A後も今まで通りの体制で事業ができるかといった点まで確認しておく必要があります。また、どのような契約内容にするのかも簡単ではありません。

M&Aに詳しくない人が、細かいポイントまで確認するのは至難の業です。トラブルを未然に防ぐためにも、M&Aの専門家に相談するのがよいでしょう。

(3)自分が業務にあたらないといけないケースがほとんど
小規模の会社では、経営者が経営の仕事だけをしていることはまずありません。営業・製造・経理など、現場の作業をしながら経営者としての仕事もしているケースがほとんどです。

また、M&A後に前の経営者が従業員としては残ってくれませんから、自分自身が業務にあたらなければならないと考えておくべきです。もちろん、前の経営者の穴を埋める人材を採用すれば解決しますが、その分だけオーナーとしての取り分は少なくなります。

おわりに

個人でもM&Aができる環境が整い、起業や副業の選択肢が増えたのは事実です。しかし、M&Aは簡単にできるものではなく、上記のような注意点もたくさんあります。「少ない資金で買えるから、とりあえず始めてみよう」ではなく、専門家に相談しながら、計画的に進めていくことをおすすめします。

この記事を書いた人

シニア・プライベートバンカー、MBA(経営学修士)、1級ファイナンシャルプランニング技能士、日本証券アナリスト協会認定アナリスト横山 研太郎

ねこのて合同会社 代表。大手メーカーで経理、中小企業の役員として勤務したのち、ファイナンシャルプランナーとして独立。金融機関での経歴がないからこそできる、お客様にとってのメリットを最大化するプランを提案している。オーナー企業での役員経験を活かし、経営コンサルティングからオーナー様の資産管理・資産形成まで、幅広い相談に対応できることを強みとする。

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