M&Aのメリット・デメリットとは? 買い手・売り手別に解説

M&Aの基礎

2021.7.263 months前

M&Aのメリット・デメリットとは? 買い手・売り手別に解説

M&Aのメリット・デメリットにはいろいろなものがあります。目的によって得られるメリットは異なりますが、知っておくべき点を買い手・売り手別に解説します。

時間も費用もかかるM&Aをより確実に成立させるためには、自社が買い手でも売り手でも、相手側のメリット・デメリットを知っておくことも重要です。双方の立場を理解した上で、M&Aをどのように進めるべきかを考えてみてください。

【買い手】M&Aのメリット・デメリット

M&Aで買収するメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

M&Aで買収する3個のメリット

1.既存事業の強化とコスト削減
既存事業と同じ、または近い事業をM&Aで買収することで、シナジー効果(相乗効果)により、既存事業を強化することができます。これまで販売網がなかったエリアに進出できたり、取り扱っていなかった商材を販売したりすることで、顧客に訴求できる価値が高まるでしょう。

販売量が増えることで、規模の経済を効かせた仕入価格の低減、経理・人事等の間接部門を共通化といったコスト削減も可能になります。こうした副次的な効果もM&Aの買収メリットです。

2.新規事業参入による事業の多角化
新しい事業に参入し、事業を多角化させることができるのもM&Aのメリットです。1つの事業だけに集中すればコスト競争力をより高めることができますが、その事業が不調になったときのダメージも大きくなるでしょう。事業を多角化することで、お互いの事業を補い合いながら、企業体質をより強化していくことにもつながります。

3.時代の変化に対応できる
全く変化しない業界はありません。しかし、安定した業績を上げられている一方で、現状に安心してしまい、変化ができない雰囲気になってしまうのは問題です。M&Aで、新しい技術を持つ企業や変化しようとする人材を多く抱える企業を買収することで、社内に時代の変化に対応できる技術や人材を取り込むことができます。

M&Aで買収する2個のデメリット(注意点)

一方で、M&Aの買収にはデメリットもあります。メリットが生じなければ、それがそのままデメリットになる可能性があります。

1.想定していたシナジー効果が生まれない
当初想定していたシナジー効果が必ず出てくるとは限りません。シナジー効果が生まれなければ、収益力や成長力があまり高くない事業部門が増えるだけで、M&Aが逆効果になってしまうケースもあるでしょう。

M&Aを進める前に徹底的な市場調査をしたり、M&A後には組織を一体化させられるようなプロジェクトを立ち上げたりして、シナジー効果をより確実に引き出せるようにする努力が欠かせません。

2.組織の融合がうまくいかず、人材流出などにつながってしまう
M&Aをすると、異なる社風の部門が1つの会社で一緒に仕事をすることになります。そのため、組織を一体化させることが重要です。買収した側・買収された側どちらの従業員であっても、新しい組織になじめないことが理由で離職してしまうかもしれません。

組織統合のために、PMI(Post Merger Integration:M&A成立後の統合プロセス)をうまく進められるよう、早期に統合準備室を作り、M&A後の経営体制を経営陣がトップダウンで提示していくことが重要です。

パソコンを持って起業する男性

【売り手】M&Aのメリット・デメリット

M&Aで売却するメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

M&Aで売却する3個のメリット

1.事業基盤を強化できる
自社の事業の中に収益性が低い事業がある場合、その部門を他社に売却することで、自社の収益性を高めることができます。不採算事業で流出していた資金を主力事業に投じることで、事業基盤の強化につながるでしょう。

2.雇用を維持しながら、事業承継問題を解決できる
後継者問題は、中小企業の大きな課題です。後継者が見つからず廃業せざるを得ない場合、従業員の雇用を維持できません。従業員にまで迷惑をかけてしまうことは、経営者として避けたいことでしょう。

後継者を探すとき、M&Aを選択肢に入れ、親族や社内人材以外に「自社の事業に興味がある他社」に広げてみると、雇用を維持しながら事業承継問題を解決できる可能性が高まります。

3.創業者利益を実現できる
株式を売却する方法によってM&Aを行えば、創業者利益を得ることができます。同時に、会社の借り入れのために付けていた個人保証の解除もできるため、経営者が引退した後の生活を考えると、この点も大きなメリットと言えるでしょう。

M&Aで売却する2個のデメリット(注意点)

一方で、売却時にもデメリットはあります。

1.売却まで時間がかかる
M&Aはすぐに取引が成立するものではありません。買収候補者探しや、売却価格・条件の交渉には長い時間がかかります。かなり早くても数か月、数年かかるケースも少なくありません。

2.高く売却することだけを考えていると、後のトラブルにつながりかねない
売却価格を決める前に行われるデューデリジェンスでは、自社の良いことだけでなく悪いことも含めて精査します。売り手としては少しでも高い金額で売却したい気持ちになるのはわかりますが、かといって不利な条件を隠そうとするのは良くありません。

不都合な情報を意図的に隠そうとしていたことが発覚すると、買い手との信頼関係が壊れ、売却交渉が決裂する可能性があります。また、M&Aが成立したとしても、簿外債務や偶発債務が発覚し、これが表明保証違反に該当した場合は、損害賠償を請求されるかもしれません。

簿外債務とは – M&A用語
表明保証とは – M&A用語

目的に合わせたM&Aスキームを選ぼう

上記のように、買い手・売り手それぞれのメリット・デメリットがありますが、それと合わせて、M&Aを行うための適切な方法を選択することも重要です。M&Aのスキームには様々なものがあり、目的に応じた手法でないとメリットを享受できないこともあります。

例えば、企業全体の経営権を譲渡する場合には、「株式譲渡」「株式交換」「第三者割当増資」などがありますが、創業者利益を実現したいのであれば「株式譲渡」を選択するべきです。

失敗を避けるためにも専門家に相談し、アドバイスを元に、より適切な方法でM&Aを進めるようにしましょう。

スキームとは – M&A用語

おわりに

M&Aは大きな取引となるため、メリット・デメリットの効果も大きなものです。また、長い時間がかかるものでもあるため、M&Aを検討し始めたときから、正しい情報で適切な判断をすることが成功への近道です。

信頼できるM&Aアドバイザーを探し、確実に納得のいくM&Aにできるようにすることをおすすめします。

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